祖母との思い出


「あ。うんこの匂いがする」祖母は骨折して寝たきりになった。徐々に認知症が進み、自分から話すこともなくなり表情も乏しくなった。朝、忙しい母に代わって祖母のオムツを替えるのは私の役目だ。起きるとすぐに祖母のベッドまで行くと匂ってくる。「あ。またうんこ出てる」なるべく早く片付けたい。黙って手早く作業する。慣れないうちは手についたり、排泄物が外にはみ出したり、引っ張りすぎてオムツを破ったり、どうしてこんなに時間がかかるんだろうと情けなくなった。毎日しているうちに要領も良くなり、たまに失敗するけれど手早く変えることができるようになった。
私の仕事の関係で実家を出て生活することになり、祖母のおむつ交換はヘルパーさんに依頼した。
たまに実家に帰る。ヘルパーさんと一緒に祖母のオムツ交換をする。「上手ですね。手早いし。何よりも、おばあちゃん嬉しそう。おばあちゃんに可愛がられたんですね」
忙しかった両親の代わりに、祖母に育てられた。風邪をひいて学校を休むと、作ってくれるハムエッグ、熱があっても食欲がなくても食べることができた。ヘルパーさんと話をしていたら、祖母との思い出が蘇ってくる。祖母からもらった愛を、私は返しているだけなのかもしれないと感じている。


(広島県・S.K/女性)