一つの思いも一つの行いも思いやりが基本


総合人間学モラロジー(道徳科学)を創建した法学博士・廣池千九郎(1866~1938)は、道徳実行の指針として、多くの格言を残しました。その一つに、「一念一行仁恕(いちねんいっこうじんじょ)を本となす」(『最高道徳の格言』モラロジー研究所)があります。

 「人恕」とは、すべてのものを生かし育てようとする深い思いやりの心です。この格言は、そうした心をすべての言動の基本とすべきであるということを説いたものです。

 日々接する人々に対して、どのような形で温かい心を表すことができるかを、考えてみましょう。例えば、明るく喜びに満ちた表情で接する、相手の話に心から耳を傾ける、感謝の言葉を伝える――。どれもささやかな行為ではありますが、“相手に喜びや安心、満足を与えられるように”と思いやる心の確かな表れであるといえるのではないでしょうか。そうした心づかいを、日々発揮していきたいものです。


出典:ニューモラル 心を育てる言葉366日