介護
冷たい介護
病院の6人部屋に入院した90歳過ぎのお袋の介護を経験した。三度三度の病院の病院食、ほとんど口にしなかった。家内がプリンを買ってきて食べさせ続けて生きながらえた。病院食を食べない患者、給食婦も看護婦も見て見ぬふり。患者を事務的に扱う姿勢に文句を言ったが、改善される事はなかった。退院の日、ガッポリ食事代とられた。
病室の掃除に来た掃除婦が「こんなところにスリッパおかないで!掃除の邪魔になる!」と目を釣り上げて叱った。余命いくばくもない患者に対して、冷たい一言、殴り飛ばしてやろうと思ったが、お袋は言った。「心の冷たい人には温かく接してあげて。」命の灯正に消えなんとする患者の心境は、神の域に入っていることを知った。
病院が楽しい場所であることなど期待しないが、もう少し血の通った介護が欲しいと思った。早々に連れて帰ったが、温かい介護ができたか否かは未知数であった。
(岐阜県・K.H/男性)