真の人脈力は高齢期こそ


若者たちは、「どこかの会社に就職したいけど、コネがないからね」などという言葉をよく使います。

  コネとはコネクション。自分の力はまだ小さいけれど、大きな力を持った人のすそ野にちょこんしがみついていれば、その大きな力の人から何かをしてもらえるという考え方です。まだ人脈のない大学生が先輩を頼って希望の会社に就職するときなどに、「自分はコネがあるから大丈夫」と言ったりするわけです。

そのときに、「自分は◯◯会社に人脈があるから大丈夫」とは言わないでしょう。人脈と言う限り、自分もそれなりの高い地位や能力があり、相手も同様に高い地位や能力があり、そのAさんとBさんが横につながるから人脈です。

富士山の横に小さな小山があっても山脈とは呼ばないのと同様です。高い山同士が並ぶから山脈、高い能力の人同士が並べば人脈です。

実は高齢者は、今まで生きてくる中で何かの分野で努力して自分の力を蓄えた人に対しては、「類は友を呼ぶ」で同じように力を蓄えた人が集まってきます。これが高齢者の持つ上質人脈です。

会社を定年退職した60代、70代の人が「◯◯会社のAさんとは顔見知りでね、よい人脈ですよ」とパーティなどで言うときに、これは実は人脈ではなく、ちょっと知ってるというだけのコネの場合もあるので要注意ですが、一般的には、よい仲間とよい仕事をしてきた人たちは、高齢期になるとよい人脈を持っています。そして、それは長年の「時の審判」を経て選び抜かれたものなので、ほとんどの場合、優れた人脈です。若者が「ちょっとコネがある」というのとはわけが違います。

年数を経るごとに自分も力を蓄え、同じようによい力を持った人と人脈を作っていく、この繰り返しが高齢期になっての大きな財産です。


出典:佐藤綾子著「介護も高齢もこわくない」