妻から夫へ – 家族をつなぐきずな倶楽部

ハンカチ

kazoku-kizuna-admin — Thu, 28 Jan 2021 02:00:47 +0000

「母さん、涙を拭いて……　父さんがもうすぐ麻酔から覚めるよ。父さんに涙を見せてはだめだよ」
差し出されたハンカチを見て、私は戸惑った。たった今、夫の胃癌の手術が終わり、主治医の先生から、想像以上に癌は進行していて周りの臓器への癒着が激しく手の施しようがない。胃の切除は不可能で開腹したものの成す術もなく縫合。お気の毒だが余命一か月と宣告を受けたばかりだった。娘と私は階段の片隅で泣いた。末期癌と告げられてから覚悟はしていたものの、一か月は余りに短い。声を殺して泣き続ける今の私に、泣くなという人は母か姉ぐらいだ。しかし　母は１７年前にあの世に旅立ったし、姉は愛知県から遠い神奈川に住んでいる。　私は思わず泣くのをやめて、ハンカチを差し出している人をまじまじと見つめた。それは、まぎれもなく私の娘だった。さっきまで一緒に泣いていたのに、もう涙はなかった。
夫は自分が癌である事を知らない。三カ月に渡る入院生活のストレスで、胃潰瘍になったので、悪い部分を切り取ればご飯がおいしく食べられるようになると、単純に信じている。そんな夫に涙を見せたら、何かあると思うに違いない。娘のことばで我に返った私は、大きく深呼吸した。もう泣くまい。夫の前では決して涙を見せまいと決心した。これからの日々は、死に向かって確実に一歩一歩歩んでいく夫を、看病しなければならない。果てしない永遠の闇の中の一か月は、想像するのさえ恐ろしい。今日は私の人生で最悪の日なのに、奇妙なことに何故か絶望していない自分がいた。娘のハンカチで涙を拭き追えると、これから続くつらく厳しい日々を、乗り越えて行けそうな気がしてきた。、
娘が小学校に入学し、初めての通知表を見た私は唖然とした。ことに算数が三段階評価の最低ランク△は、当時教師をしていた私にとっては屈辱的なことであった。ピアノを習わせても、バレー教室に通わせても期待には程遠く、イライラはつのるばかりだった。中学に入学して英語が２と評価されるに至って、もう期待するのはやめようと自分に言い聞かせた。娘の欠点ばかりが目につき、職場で子供の進学の話題になると肩身が狭かった。
しかし、泣いたらだめと差し出されたハンカチで涙を拭いた私は、子供を守る母親から、子供にいたわられる母へと立場が逆転した瞬間でもあった。娘はいつの間にこんなに成長したのだろうか。父親が余命一か月の宣告を受けた事は、娘にとっても辛く悲しい現実なのに、母をいたわり、父を気遣う優しさと強さを持つ大人の女性になっていた。教師でありながら、自分の子供を学校の成績だけで評価していた自分が恥ずかしい。
やがて夫が麻酔から覚め、弱々しく目を開けた。
「父さん、がんばったね……。気分はどう？」
私は娘のハンカチを握りしめ、笑顔で話しかけた。

（愛知県・M.H／女性）

死んでも私にとって家族

kazoku-kizuna-admin — Fri, 11 Dec 2020 02:00:29 +0000

誤嚥肺炎になって、口から食べられなくなり、しゃべることもできくなって、病室のベットで横たわるあなたを、毎日見ているると、やたらと涙が出てしまう。あなたが私を愛してくれて、大事にしてくたのに、グチと不満ばかり言って、感謝の気持ちを忘れてしまっていた私。「しゃベれなくても、人の言っていることはわかる」と、お医者様が言ってくれたので、毎日、枕元で「愛している」「感謝している」「ごめんなさい」と、大きな声で話している。
「いまさら遅い。バカヤロウ」って、おもっていたでしょうね。
それでも、私はあなたの私に対する深い愛。
答えれなくて、認知症のあなたを邪険にあっかって、私は愚かな女です。
いま、あなたのお骨を毎日抱きしめていても、あなたは許しくれないでしょうね。

（愛知県・Y.A／80代・女性）

夫へ

kazoku-kizuna-admin — Mon, 30 Nov 2020 02:00:58 +0000

今年、結婚40年を迎えました。月日が経つのは早いものですね。東京の吉祥寺のお店であなたに一目惚れをして私の方からアタックをしてデートを重ね、結婚することができました。三鷹の狭いアパートで生活をし、結婚4年目に娘が生まれました。その後千葉市に引っ越して、私はパートの仕事や地域の新聞に取材記事を書く仕事に取り組んできました。会社員のあなたは仕事人間だったので帰宅は深夜になることが多く、その上、単身赴任の時期もあったので、私は1人で家事と育児を担い、色々と大変な時もありました。でも、外で仕事をしていたので精神的にはバランスのとれた生活をしていました
それから、娘と3人で旅行に出かけたり、お互いの実家を尋ねたり、東京ディズニーランドに出かけたり、都内の美術館に出かけたり、ジャズコンサートに出かけるなど様々な楽しい思い出がありますね結婚して40年が過ぎ私もあなたも65歳を過ぎて高齢者になってしまいました。信じられないことですが65過ぎまで生きて居られたことに感謝しなければならないと思います。
私たちの娘は笑を書いたり文章を書いたりして過ごし、、夢に向かって頑張っている様子なので今後も娘の生き方を応援していきましょうね。
それに私にも夢があるのです「画廊」を開設したいと思っています。画廊を開設して絵のサークル活動をしている人たちの展示会を開いたり、娘が描いた絵を展示したり、良い絵を探してきて、市民に絵をレンタルするなど、現実に溢れたまちづくり貢献に貢献するためにも、画廊を開設したいのです。あなたにも協力をしてほしいと思っています。よろしくお願いしますそしてあなたも私も健康に気をつけて、金婚式を迎えるまでは元気で頑張りたいものですね。今までいろいろとお世話になり感謝しています。これからもお世話になると思うけど、よろしくお願いします。
愛しています。
あなたの妻より

（千葉県・M.U／60代・女性）

貴方へ

kazoku-kizuna-admin — Fri, 23 Oct 2020 02:00:39 +0000

このまま子供がいなくても、貴方との生活は毎日楽しくて幸せだけど、
もし叶うなら結婚当初から言っているとおり、子供が欲しいんだ。
子供が好きだから、というよりも
「大好きな貴方との間に子供がいたら、どんなにかわいいだろう」って思うから。

（愛知県・H.F／40代・女性）

亡き夫へ

kazoku-kizuna-admin — Fri, 16 Oct 2020 02:00:55 +0000

楽しみは　自転車をこぐ
安心し　しがみつく　愛
青春の時

（福島県・J.A／40代・女性）

夫へ

kazoku-kizuna-admin — Fri, 16 Oct 2020 02:00:16 +0000

初日の出　海にて拝む　ペアルック

（福島県・J.A／40代・女性）

死なないで

kazoku-kizuna-admin — Mon, 12 Oct 2020 02:00:13 +0000

昨年、あなたは危篤状態に陥り、医師からは気管切開をしなければ呼吸ができなくなる。気管切開は本人が苦しむだけだし、助かっても、24時間介護が必要となる。そのように言われたけれど、私は「どんな形でもいいので生きていて欲しい」と気管切開、胃婁など延命措置を頼みました。医師からはそのリスクを説明され、「現実がわかっていない」と言われたのですが、頑張ってやってもらった結果、奇跡と言われる結果になり、あなたは無事に普通の生活に戻れたのですよ。あなたが死ぬなんて考えられない心境でした。そうして、やっと取り戻したあなたの命。くれぐれも気を付けて絶対に死なないで。

（千葉県・M.T／70代・女性）

おかえりなさい

kazoku-kizuna-admin — Mon, 05 Oct 2020 02:00:53 +0000

「お」ち着く我が家
「か」えりたい
「え」がおと
「り」ょうりに誘われて
「な」んてことない１日も
「さ」さやかな幸せに変わって
「い」きていく

（岩手県・T.S／30代・女性）

夫へ

kazoku-kizuna-admin — Mon, 28 Sep 2020 02:00:23 +0000

「家族だからってそんなに助け合うもの？個々でやればいいじゃん？」
結婚し、子供が生まれてきてから言ったあなたの一言に私は衝撃を受けた。
そして、あなたの行動をようやく理解する事が出来た。
いつも私や子供の体調が悪くても無関心なあなたとはケンカばかり。
そういうことだったのね…
育ってきた環境で良くも悪くも人を成長させる。
「家族だからこそ、いっぱい助け合う事が出来るんだよ」って事、
今から一緒に感じていこうよ。
「家族ってもっともっと愛情溢れて注げる存在だと思うから」

（千葉県・S.T／30代・女性）

夫へ

kazoku-kizuna-admin — Mon, 14 Sep 2020 02:00:29 +0000

毎日本当にお疲れ様です
何かあればすぐに顔に出るよね
自分では気付いていないみたいだけど
そんな子供っぽいところがあるあなた
その反面で何かあっても決して愚痴はこぼさない、八つ当たりはしない
家庭に仕事は持ち込まないの基本だね
だから私も黙ってグラスにビールを注ぎます

（岩手県・T.S／30代・女性）