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佐藤綾子先生 – 家族をつなぐきずな倶楽部 http://kazoku-kizuna.jp Mon, 23 Jan 2023 04:03:46 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.25 148687284 高齢化とAI化が進む中、パフォーマンスの役割はますます大きくなっています。 パフォーマンス学・心理学 博士 佐藤綾子さん 後篇 http://kazoku-kizuna.jp/2018/11/09/%e9%ab%98%e9%bd%a2%e5%8c%96%e3%81%a8ai%e5%8c%96%e3%81%8c%e9%80%b2%e3%82%80%e4%b8%ad%e3%80%81%e3%83%91%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%82%b9%e3%81%ae%e5%bd%b9%e5%89%b2%e3%81%af%e3%81%be/ http://kazoku-kizuna.jp/2018/11/09/%e9%ab%98%e9%bd%a2%e5%8c%96%e3%81%a8ai%e5%8c%96%e3%81%8c%e9%80%b2%e3%82%80%e4%b8%ad%e3%80%81%e3%83%91%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%82%b9%e3%81%ae%e5%bd%b9%e5%89%b2%e3%81%af%e3%81%be/#respond Fri, 09 Nov 2018 11:00:49 +0000 http://kazoku-kizuna.jp/?p=3428 時代が変われば自己表現も変わらなくてはいけない

編集部:今は誰でもSNSで発信するようになり、ロボットがホテルの受付をする時代です。パフォーマンスを取り巻く環境が随分状況が変わっていると思いますが、パフォーマンス学の意義はどのように変化していますか?

佐藤:いいことを聞いてくれますね。その通りで、時代が変われば自己表現も変わらなくてはいけません。

1980年にパフォーマンス学を日本に紹介したときは、グローバル化を見据えてのことでした。国際化する社会において日本人はなんて自己表現が下手なのだろうという課題意識を強く持っていました。
でも正直言って、その時点でこれほどの高齢化とAI化は予測していませんでした。これらを社会ニーズとして捉えて取り組み始めたのは10年前からです。

 

編集部:具体的にはどのような取り組みをされていますか?

佐藤:一つには、現在、認知症を表情から読み取るAI開発に参画しています。
高齢化に関しては、介護されるお年寄りの生活環境や質などがどんどん多様化して様々な問題が顕在していますが、最近では介護独身といって親を介護していて婚期が過ぎてしまう人や介護離職といった介護する側の問題も大きくなっています。

「高齢化」の様々な問題の根本解決には、介護の期間を減らしたり薬代を少なくするにはどうしたらいいかを考えなくてはいけません。そのために、認知症になる前に、介護する側が早い段階で表情から認知症の兆しを読み取ることが出来ることはとても有効な手段です。その着眼からAI開発にパフォーマンス学を活用した取り組みを行っています。

また、別の取り組みでは、介護する側のパフォーマンス(しゃべり方や表情など)一つで、介護される側が元気になれるということで、パフォーマンス学を活かしています。

高齢心理学独特の特徴として、介護される人は依存欲求がどんどん増していきます。モノが取れないから取って欲しい、話を聴いてもらいたい、、、と、介護してくれる子どもやお嫁さんへの依存欲求が増えるわけです。それが重なるとだんだん介護者にも負担が重なってきます。実際介護の現場では、人も時間も限られています。そうすると、どういうやりとりをすれば効果的に時間を縮めながらかつ介護者を元気づけられるかという視点が必要になるのです。

 

 

お年寄りの心の変化も接し方次第。
介護でも活かせる「笑いの効用」が明らかに

編集部:介護する側は、前回お話したようなストレスマネジメントを行って、介護される側は介護者のパフォーマンスで元気にするということですね。

佐藤:「高齢者における笑いの効果の実験研究」を虎の門病院と組んで行いました。こちらは、日本医療学会の論文として掲載しています。
対象者は、ある都内の中学校に健康体操をしに来ているお年寄りで、実験に協力してくれる方を募ったら偶然全員女性で、平均年齢は75歳の11名でした。

実験期間を8日間設けて、そのうち2回、体育館に集まってもらいました。

-1回目(初日)は、お年寄りに1分間スピーチをしてもらって、その後私が笑い話をします(ラーフタイムという)。
-2回目(8日目)は、その逆で私が笑い話(ラーフタイム)をして、その後お年寄りに1分間スピーチをしてもらいます。

そして、2回とも、血中酸素濃度や血圧や体温、そして発話数などを測定して、8日間の実験前後で数値を比較をしたのです。

結果は見事でした。「表情筋」が動く秒数、「血流」、「血中酸素」濃度が増え、一方で「血圧」は下がりました。また、1分間の「発話ワード」数も優位性をもって増えました。そしてアンケートを回答してもらったところ、自分の「笑顔への自信」が高まったのです。

 

編集部:すごくわかりやすい笑いの効用ですね。

佐藤:みなさんこの話をすると、「いったいどんな笑い話を話したんですか?」と聞かれますが、お年寄りにはお年寄りが自分ゴトできる話題の提供です。若い女の子が箸が転んでもおかしいというのとは違います。
お年寄り自身が日常感じていて共感できるようなちょっとした失敗談や恥ずかしい思いなどを話せばゲラゲラ笑い転げて、セミナーの間も全く退屈なんかしませんでした。

さらに、話をする前に、「面白かったら遠慮しないで笑いましょう」「隣の人が笑っているくちゃくちの顔を見ておかしかったらもっと笑いましょうね」と声をかけておくのです。
そんな風に発信者の働きかけ次第で、受け手も笑って元気になれるのです。こうした笑いの効用は介護の現場にもどんどん取り入れていってほしいです。

 

 

AIには決して出来ない仕事。
それは、目の前にいる人の不安を解消すること

編集部:では、加速するAI時代に対してはどういった視点が大切になりますか?

佐藤:AIができることはとてもたくさんありますよね。IBMのワトソンはジェネラルドクターよりも早く病名が言えるようになっていますし、ブロック塀の強度チェックはゴガンゴというAIロボットが塀の前に立つだけでできるのです。そして、ご存じのように2045年には単純労働の49%はAIに取って代わられると言われています。

ですが、AIにできない仕事があります。それは、目の前にいる人の不安を解消してあげることなのです。
人間関係作りには、3ステップありまして、①不特定性の解消 ② 不安の解消 ③ 安心の提供 です。

①はどこのだれかを識別するということで既にAIでできます。
でも、②と③ができるAIはまだありません。レイ・カーツワイルという最初にAI時代を予告したコンピューター研究者は、どこまで行ってもAIで不安を解消することはできないだろうと言っています。

 

 

心が弱っている人への関わりは、「姿勢」「アイコンタクト」「表情」の3つを参考に

編集部:心が弱っている人に接する際、弱っている人のパフォーマンス上の特徴――見た目でわかる表情や態度など――の知識を予め持っていると関わり方も変わるのではないかと思いますが、いかがですか?

佐藤:心が弱っている人を見分けるには、「姿勢」「アイコンタクト」そして「表情」の3つがポイントになります。
傾向として、人は心が弱っていると、

  • 「表情筋」の動きの秒数が減ります。つまり、顔の表情が動かなくなります。
  • 「アイコンタクト」の秒数も減ります。目を見て話さなくなったり、下を向いて話します。
  • 「姿勢」に関しては、パワーがなくなっている時は背骨が曲がるので、猫背になります。

通常この3つが大きな特徴ですが、さらにひどくなると、「歩幅」が減ってトボトボ歩くといったパフォーマンスに現れたりもします。

 

編集部:どれもわかりやすいですね。一方で、この中で普段から心の健康のために心がけるといいことはありますか?

佐藤:それは「姿勢」を直すことですね。残念ながら表情を直すのは長年の癖がついていてなかなか容易ではありません。
先述した「高齢者における笑いの効果の実験研究」でも明らかなように、血中酸素の量が多い方が心には良いわけです。姿勢を良くして胸を開けた方が肺が広がってたくさん酸素が入ってきます。良い姿勢を心がけることをおすすめします。

 

返報性(Reciprocity)がある関与。
若いうちからコミットメントを心がけて

編集部:今回いろいろなお話を伺いましたが、ストレス社会においては自ら関わるということ(Commitment)が大切ということが印象に残りました。

佐藤:そうです。人間は社会的動物だから誰かと組まないとできないことばかりですから、自分から関与していくことはとても大切です。AIができない不安の解消という意味でも、やはり社会全体として、関わる気持ちは全員が持っていないといけないのではないでしょうか。

そして、関与には「返報性(Reciprocity)」があります。関わった相手は、いつか自分に関わり返してくれるというものです。

幸いなことに、高齢化とAI化で私のやるべきことはますます増えています。しかしながら、私自身が今71歳ですから立派な高齢者です。当然のことながら、若い人と組まないと出来ないことや、若い人と組んだ方が効率がいいことがたくさん出てきています。
でも、かつての教え子や縁あって助けた人などは電話一本で私を助けに来てくれます。これまで人に関与してきて、いい方のツケが戻ってきているなぁ、と最近感じるようになりました。

返報性の観点でいえば、20代30代、もっと言えば10代のうちからでも自主的に関わっていってほしいですね。関わってきたことは最終的にきっと実を結びます。そして、それがストレス耐性(Hardiness)にもつながり、豊かな人生を歩むことにつながります。

 


佐藤 綾子(さとう あやこ) AYAKO SATO

ハリウッド大学院大学教授・日本大学藝術学部講師
日本大学校友会桜門社長会顧問

信州大学教育学部卒、ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究学科卒(MA)、上智大学大学院英米文学研究科卒(MA)、同博士課程修了、立正大学大学院心理学専攻、博士(パフォーマンス学・心理学)
パフォーマンス心理学の第一人者として、累計4万人のビジネスリーダーとエグゼクティブ、首相経験者含む54名の国会議員等のスピーチ指導。単著単行本191冊著作累計319万部。(2018年現在)


編集:家族をつなぐきずな倶楽部 編集部

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ストレス耐性を高めるカギは、Challenge、Control、Commitmentの「3つのC」です。  パフォーマンス学・心理学 博士 佐藤綾子さん 前篇 http://kazoku-kizuna.jp/2018/11/02/%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%ac%e3%82%b9%e8%80%90%e6%80%a7%e3%82%92%e9%ab%98%e3%82%81%e3%82%8b%e3%82%ab%e3%82%ae%e3%81%af%e3%80%81challenge%e3%80%81control%e3%80%81commitment%e3%81%ae%e3%80%8c3%e3%81%a4/ http://kazoku-kizuna.jp/2018/11/02/%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%ac%e3%82%b9%e8%80%90%e6%80%a7%e3%82%92%e9%ab%98%e3%82%81%e3%82%8b%e3%82%ab%e3%82%ae%e3%81%af%e3%80%81challenge%e3%80%81control%e3%80%81commitment%e3%81%ae%e3%80%8c3%e3%81%a4/#respond Fri, 02 Nov 2018 11:00:18 +0000 http://kazoku-kizuna.jp/?p=3373 今回の「インタビュー」は、パフォーマンス学の第一人者である佐藤綾子さんをゲストにお迎えします。
日本の大学院で演劇評論を学ぶ中で、「日常の自己表現」を科学したいとの思いが募り、39年前にニューヨーク大学に新設されたばかりのパフォーマンス学研究科第一期生に。そして帰国後、1980年に日本に初めてパフォーマンス学を紹介し、今日まで実験と論文発表を繰り返しながら、政治家、ビジネスマン、女性、お年寄りと幅広いターゲットにサイエンスに裏打ちされた理論と実践で自己表現の重要性を伝え続けます。
また、超高齢化とAI化に拍車がかかるこの日本において、「不安を取り除く」ことと「安心を与える」ことができるのは人間しかできないことであり、パフォーマンス学の重要性を改めて確信するに至ります。
パフォーマンス学からみたストレス耐性のチェック法、人との関わり方、さらには心豊かに生きるための笑いの効用など、研究結果も交えたお話を、前篇、後篇2回に渡ってお届けします。


「人間の日常の自己表現」をサイエンスする

編集部:先生は39年も前に、海外でもまだ新しかったパフォーマンス学を学ばれています。当時全く新しい学問を研究しようと思われたいきさつをお聞かせいただけますでしょうか。

佐藤:上智大学の院生だった時、アメリカ演劇の評論を研究していたのですが、やがて舞台上のパフォーマンスよりもドラマティックな日常の自己表現を研究したいと思うようになりました。
しかし当時、日本にはそのような研究をしている大学はありませんでした。それで、ネットもない時代でしたから、フルブライト委員会のカタログを片っ端から調べたのです。そこで、丁度翌年にニューヨーク大学でパフォーマンス学の研究科が開講されることを知りました。

当時私は、上智大学の博士課程に在籍していて夫も子どももいました。ですが、子どもは転校させ、夫には離婚届を出して渡米しました。どうしても、舞台上ではない人間の「日常の自己表現」を科学的に研究したかったのです。アメリカで1979年に確立されたパフォーマンス学を、私はニューヨーク大学で11カ月で修士号を取って帰国し、翌年1980年日本に初めて紹介しました。

 

編集部:科学的に研究する、ということをとても重視されているのですね。

佐藤:「生身の人間が発信する自己表現」がパフォーマンスです。それをサイエンスとして研究することにずっと力を注いでいます。ですから、今でも年がら年中実験をして論文を書いています。

サイエンスとは、同じ条件下で実験を行った場合に、再現性があり検証可能でなくてはなりませ。例えば「人は見た目が9割」などと言いますが、サイエンスでなければ他の人がやったら9割が8割になってしまうかもしれないですよね。
私のオリジナルな実験データに「日本人の顔の表情」に関するものがあります。この実験データは私が世界一たくさん持っているもので、どこの筋肉がどう動いた時にどういう心理状態なのか、もっと言えばどういう性格でどういう育ちをしてきたか、までわかります。

現在、私はパフォーマンス学を4つのフィールド――ビジネス、教育、医療、政治――で展開していますが、例えば、選挙に立候補した人が有権者にどう見えるかを表情、声、姿勢まで含めて講座で学んで実践していただくものもあります。サイエンスによるエビデンスがあればこその結果を出しています。

 

ストレスは、受け止め手の「資質」によって良いものにも悪いものにもなる

編集部:現代のストレスには人間関係が大きく影響しています。人と人のコミュンケーションに大きく関わるパフォーマンスですが、パフォーマンス学ではストレスをどのように捉えますか?

佐藤:私たちは全員なんらかのストレスを受けています。でも、ストレスを考える際に、まずはストレスというものの仕組みを正しく理解しておく必要があります。
人の心に重しをかけるものは全てストレッサーと言いますが、たとえ均一のストレッサーがかかったとしても、その影響度は受け止め手の「資質」によって変わるということを知っておくことが重要です。

ラテン語で、良いストレスを「ユーストレス(eustress)」、悪いストレスを「ディストレス(destress)」と言います。
例えば、英語のスピーチ実験で「明日国際会議で発表しろ」と言われると、英語の得意な人はすごく張り切るけれども、英語の苦手な人が同じことを言われるたら眠れなくなるというものがあります。この場合、前者にとっては英語のスピーチが善玉ストレッサーとなりますが、後者にとっては悪玉ストレッサーです。同じストレッサーがかかっても、受け止め手の「資質」によって重荷になったり励みになったりするわけです。

それともう一つ、ストレスの寡少(少ない)もあります。
2015年に『スタンフォードのストレスを力にかえる教科書/ケニー・マクゴニガル著』が出版されました。この本の中では、ギャラップ調査でストレスの多い人と少ない人の寿命を比べたところ、ストレスのある人の方が長生きをしていたと書かれています。

「ストレス過剰(over stress)」と「ストレス寡少(under stress)」、どちらも過ぎるのはよくはないです。しかし、その量は何キログラムになるとダメで何キログラムまでなら大丈夫と一概に言えるものではなく、これも受け手の「資質」によって変わってくるのです。

 

編集部:それが、こちらの図(下図)にある、横軸が「ユーストレス」か「ディストレス」か、縦軸が「ストレス過剰」か「ストレス寡少」かの図になるわけですね。

佐藤:そうです。これはストレスマネジメントを考える際にベースとなるもので、私がパフォーマンス学の観点から考案したオリジナルの分類表です。

ストレスマネジメントを行うには、まずは自分の「資質」を知ることが大事です。
自分はどのくらい「ストレス耐性(Hardiness)」があるのか、自分がストレスに弱いのか強いのかを、この表で冷静に棚卸できることが望ましいですね。

 

出典:国際パフォーマンス研究所 佐藤綾子

 

まずは「3つのC」で自分のストレス耐(Hardiness)を知る

編集部:既にストレスで弱っている人や、自分を客観的にみることがあまり得意でない人ができるストレスマネジメント法はありますか?

佐藤:心が病んでしまうと自分を冷静に見られなくなるので、先ほどの表を使って自分を俯瞰して棚卸することが難しくなります。そういう場合は、ストレス対処として「3つのC」を行います。

「3つのC」とは、①Challenge(挑戦) ②Control(統制) ③Commitment(関わり)。一般的には、これらの「3つのC」を高く持ち合わせる方がストレスを超えられるストレス耐性(Hardiness)が強いということになります。
まずは、この3つの資質を自分がどのくらい持っているかを知ることからはじめます。自分がふだん様々な場面でどのような行動や言葉に出るか、わからなければ周りの人に聞いてみてふだんの自分がどういうパフォーマンスをとっているか教えてもらいましょう。

 

 

編集部:3つのCを順に説明していただけますか。

佐藤:まず、Challengeですね。これは、何かを頼まれたときや目の前のコトに対して、「やりまっせ!」「やらせて下さい!」とチャレンジングな反応をとるか、逆に「できないかも・・・」「失敗したらどうしよう・・・」「○○さんとやるならいいけど・・・」などチャレンジから逃げるかです。
日ごろ自分がどちらが多いかを振り返ってみましょう。自分でわからなければふだんどういう反応をしているか、身近な人に聞いてみましょう。

次に、Control。自分でものごとを統制できない状態もストレスになります。例えば「(異動で)香港に飛ばされた」「上司に資料を作らされた」など、誰かに「された」「させられた」という言い方ばかりする人がいます。
一方で、同じ状況下でも「海外でも働いてみたかったし、今回の異動はいいチャンスだ」「みんながわかるようシンプルな資料を作ってみよう」といったように前向きに考え直すことが出来ると、自分で自分の状況をコントロールしているということになります。

そして、Commitment。これは様々な身の回りのコトを、「自分には関係ない」と思うか「自分にも関係ある」と思かということです。それによってストレスの感じ方や疲れ方が違ってきます。
例えば、家の前の雪かきを考えてみましょう。自分の家の前だけで済ませてお隣や近所のことはお構いなしという人は関与が低い人。
一方、お隣の所も大変だからちょっとやっておきましょう、とアクションを起こす人は関与が高い人。
関与すれば、これをきっかけでお隣さんと会話が生まれて関係性も良好になっていくわけです。PTAの会長やってくれない?と言われて、ただただ「できません」と突っぱねるのではなく、「会長は無理だけど会計ならできます」と言えばそれはこの案件に関与していることになり、人間関係も広がっていくでしょう。
私の経験上、コミットメントのスコアが低い人は人脈が小さいです。そして私流の言葉でいうと「ケチ」な人ですね。自分だけ良ければ良いと思って他人に何も与えない人になっていないか、ふだんの自分を振り返ってみて下さい。

 

編集部:この3つは、自分でも振り返りやすくて、周りの人に聞いてみることもできそうです。この3つは仮にスコアが低くても努力して高くするべきですか?

佐藤:べきかどうかはなんとも言えませんね。中には、私は放っておいて欲しいと言う人もいるでしょうから、一概に3つ全てが高くなくてはいけないというわけではありません。類まれな才能の持ち主や天才なら、コミットメントしなくても人は寄ってきてくれるかもしれません。
でも、ごくごく一般の人ならば3つのCは高い方がストレスマネジメントがしやすいですし、社会全体としても、3つのCが低い人は持ちあげた方がいいと言えるのではないでしょうか。

私のおこなっているパフォーマンス学は、表れている行動を変えることです。
3つのC――挑戦してみる、コントロールする、関与してみる――それを高めるための「動作」と「表情」と「言葉」を使い続けるように助言するのが、私の大事なミッションです。

後篇に続く

 


佐藤 綾子(さとう あやこ) AYAKO SATO

ハリウッド大学院大学教授・日本大学藝術学部講師
日本大学校友会桜門社長会顧問

信州大学教育学部卒、ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究学科卒(MA)、上智大学大学院英米文学研究科卒(MA)、同博士課程修了、立正大学大学院心理学専攻、博士(パフォーマンス学・心理学)
パフォーマンス心理学の第一人者として、累計4万人のビジネスリーダーとエグゼクティブ、首相経験者含む54名の国会議員等のスピーチ指導。単著単行本191冊著作累計319万部。(2018年現在)


編集:家族をつなぐきずな倶楽部 編集部

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人はなぜこれほど笑いに魅かれるのか http://kazoku-kizuna.jp/2018/09/28/%e4%ba%ba%e3%81%af%e3%81%aa%e3%81%9c%e3%81%93%e3%82%8c%e3%81%bb%e3%81%a9%e7%ac%91%e3%81%84%e3%81%ab%e9%ad%85%e3%81%8b%e3%82%8c%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%8b/ http://kazoku-kizuna.jp/2018/09/28/%e4%ba%ba%e3%81%af%e3%81%aa%e3%81%9c%e3%81%93%e3%82%8c%e3%81%bb%e3%81%a9%e7%ac%91%e3%81%84%e3%81%ab%e9%ad%85%e3%81%8b%e3%82%8c%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%8b/#respond Fri, 28 Sep 2018 02:29:10 +0000 http://kazoku-kizuna.jp/?p=3090 日本では昔から「笑う門には福来る」といいます。

ニコニコしていると幸せや富が転がり込んでくることを人々は体験的に知っていたのでしょう。「人生は泣き笑いだ」という人もいますが、どちらを好んで引き寄せるべきかといえば、当然、笑いのほうでしょう。その真実ゆえに世界中にも笑いの素晴らしさを表している哲学者や詩人の言葉はたくさんあります。いくつかをしっかり見てみましょう。

「世の中には腹が立つことがたくさんあるさ。流れの中には濁った部分もある。だから、そんなことにかかずらうことなく、いっそのこと笑い飛ばしてしまいなさい」

『俗人への手紙』ヘルマン・ヘッセ(独)

「人は幸福だから笑うのではない。笑うから幸福なのだ」

『幸福論』アラン(哲学者・仏)

「できるだけ幸福に生きよう。そのためにも、とりあえず今は楽しもう。素直に笑い、この瞬間を全身で楽しんでおこう」

『悦ばしき知識』ニーチェ(独)

「笑いは脳をマッサージする。笑いは緊張状態を緩和する。つまり、笑いは脳を『脱抑制』させる効果があるのだ」

『笑う脳』茂木健一郎(日本)

ドイツの詩人ヘッセも、フランスの哲学者アランも、ちょっと気難しいことで有名だったドイツの哲学者ニーチェも、そして、日本の脳科学者の茂木健一郎さんも、みんなそろって笑いが素晴らしいということをそれぞれの言葉で書いています。

茂木さんの場合はこの「笑う脳」の中で、笑いのさまざまなメリットを具体的に記し、笑うことで人間が緊張やストレスや抑制された状態から解放されるのだと説いています。つらいことを笑い飛ばしたり、幸福ではない時でさえも笑顔を作ったことで幸福な気持ちになったり、幸福に生きるという大きな目的のために笑ったり、脳にいいことだからと理解して笑ったりして生きようと、この4人の専門家たちからのアドバイスです。

「高齢になったって笑うことはできる。だったら笑っていこうじゃないか」。これは本著を書いている私の呼びかけです。そのために次の項から、私が実際に75歳の人々を対象に行った「笑いの実験」を中心、笑いがアンチエイジングになるというエビデンスを紹介していきます。


出典:佐藤綾子著「介護も高齢もこわくない」

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経済力のバリエーションを活かすとき http://kazoku-kizuna.jp/2018/09/25/%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%8a%9b%e3%81%ae%e3%83%90%e3%83%aa%e3%82%a8%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3%e3%82%92%e6%b4%bb%e3%81%8b%e3%81%99%e3%81%a8%e3%81%8d/ http://kazoku-kizuna.jp/2018/09/25/%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%8a%9b%e3%81%ae%e3%83%90%e3%83%aa%e3%82%a8%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3%e3%82%92%e6%b4%bb%e3%81%8b%e3%81%99%e3%81%a8%e3%81%8d/#respond Tue, 25 Sep 2018 02:01:29 +0000 http://kazoku-kizuna.jp/?p=3075 高齢格差には、実は経済力が大きく関係します。定年退職とともに定収入がなくなるという人はたくさんいます。そのときに、個人的年金や国民年金、厚生年金などの金銭的収入がその人を助けてくれます。もちろん、不動産や株、インゴットのゴールドバーなどで富を蓄積している人もいます。

一方でこういう富の蓄積ができないまま高齢期を迎える人も、たくさんいます。その人たちは、「あの人たちはいいわね、あんな高級な介護付きマンションには入れて。うちはずっとこのやすいマンション暮らしかしら」などという、ちょっとため息交じりの会話を交わしたりもします。

でも、ちょっと待ってください。金銭的収入だけが経済力でしょうか。この頃、私はそうではないことにはっきりと気づくようになりました。

私の近隣には花作りが非常に上手な80代の女性、大岩さんがいます。彼女は持ち家で自分の庭があるので、そこで楽しみで花や野菜を色々作っているのですが、ときどき、「たくさんあるから、おすそ分け」と言いながら、季節の花や野菜を分けてくれます。私にとっては、仕事に忙殺されて買い物に行く時間も足りないというような日々に彼女が届けてくれる花や野菜が、なんとうれしいことでしょうか。

このような有形のものだけとは限りません。情報だって立派な経済力です。情報貧乏と情報リッチはちゃんといるわけですから。

どんな方法をとったらこの貴重な本が手に入るとか、どこに行けばどんなイベントがあり、どこにどんな名医がいるのかというように、私たちの今の社会はまさに1980年にアルヴィン・トフラーが予言したような「第三の波」、情報化社会のまっただ中にいます。情報の大小がその人の財力の大小になっているわけです。

病気をしたときに、どの病院が一番きちんと対応しますさてくれるか。薬を飲むときに、どの薬は効いて、どれは効かないのか。もちろんそれぞれの分野にファイナンシャルプランナーや薬剤師などがいるわけですが、自分の身近な友人のネットワークの中でたくさんの情報が飛び交えば、これほど簡単で確かなことはありません。これまた若いときから貯えている財力です。

有名な「アリとキリギリス」の話があります。アリはせっせと働き、キリギリスは遊んでばかりいたので、冬になったら食べ物がなくなってしまうというわけですがらどうやら高齢者は「アリギリス」があっているような気がします。一生懸命働き、お金や情報を蓄えるとき。そして、仕事は少し暇になったけれど、様々な自分の持っている能力を使って、たくさんの上質な友達や人脈を作るとき。そんなことを折々の生活の中で緩急自在に交ぜながらやっていると、高齢期の金銭的経済力も含めて高齢力は心配がないということになるでしょう。

楽しく年を取っていくためには、こんな財力的な高齢力もやっぱり見逃せない大きな項目です。


出典:佐藤綾子著「介護も高齢もこわくない」

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http://kazoku-kizuna.jp/2018/09/25/%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%8a%9b%e3%81%ae%e3%83%90%e3%83%aa%e3%82%a8%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3%e3%82%92%e6%b4%bb%e3%81%8b%e3%81%99%e3%81%a8%e3%81%8d/feed/ 0 3075
真の人脈力は高齢期こそ http://kazoku-kizuna.jp/2018/09/21/%e7%9c%9f%e3%81%ae%e4%ba%ba%e8%84%88%e5%8a%9b%e3%81%af%e9%ab%98%e9%bd%a2%e6%9c%9f%e3%81%93%e3%81%9d/ http://kazoku-kizuna.jp/2018/09/21/%e7%9c%9f%e3%81%ae%e4%ba%ba%e8%84%88%e5%8a%9b%e3%81%af%e9%ab%98%e9%bd%a2%e6%9c%9f%e3%81%93%e3%81%9d/#respond Fri, 21 Sep 2018 06:45:27 +0000 http://kazoku-kizuna.jp/?p=3047 若者たちは、「どこかの会社に就職したいけど、コネがないからね」などという言葉をよく使います。

  コネとはコネクション。自分の力はまだ小さいけれど、大きな力を持った人のすそ野にちょこんしがみついていれば、その大きな力の人から何かをしてもらえるという考え方です。まだ人脈のない大学生が先輩を頼って希望の会社に就職するときなどに、「自分はコネがあるから大丈夫」と言ったりするわけです。

そのときに、「自分は◯◯会社に人脈があるから大丈夫」とは言わないでしょう。人脈と言う限り、自分もそれなりの高い地位や能力があり、相手も同様に高い地位や能力があり、そのAさんとBさんが横につながるから人脈です。

富士山の横に小さな小山があっても山脈とは呼ばないのと同様です。高い山同士が並ぶから山脈、高い能力の人同士が並べば人脈です。

実は高齢者は、今まで生きてくる中で何かの分野で努力して自分の力を蓄えた人に対しては、「類は友を呼ぶ」で同じように力を蓄えた人が集まってきます。これが高齢者の持つ上質人脈です。

会社を定年退職した60代、70代の人が「◯◯会社のAさんとは顔見知りでね、よい人脈ですよ」とパーティなどで言うときに、これは実は人脈ではなく、ちょっと知ってるというだけのコネの場合もあるので要注意ですが、一般的には、よい仲間とよい仕事をしてきた人たちは、高齢期になるとよい人脈を持っています。そして、それは長年の「時の審判」を経て選び抜かれたものなので、ほとんどの場合、優れた人脈です。若者が「ちょっとコネがある」というのとはわけが違います。

年数を経るごとに自分も力を蓄え、同じようによい力を持った人と人脈を作っていく、この繰り返しが高齢期になっての大きな財産です。


出典:佐藤綾子著「介護も高齢もこわくない」

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統合して判断する力は高齢期のギフト http://kazoku-kizuna.jp/2018/09/18/%e7%b5%b1%e5%90%88%e3%81%97%e3%81%a6%e5%88%a4%e6%96%ad%e3%81%99%e3%82%8b%e5%8a%9b%e3%81%af%e9%ab%98%e9%bd%a2%e6%9c%9f%e3%81%ae%e3%82%ae%e3%83%95%e3%83%88/ http://kazoku-kizuna.jp/2018/09/18/%e7%b5%b1%e5%90%88%e3%81%97%e3%81%a6%e5%88%a4%e6%96%ad%e3%81%99%e3%82%8b%e5%8a%9b%e3%81%af%e9%ab%98%e9%bd%a2%e6%9c%9f%e3%81%ae%e3%82%ae%e3%83%95%e3%83%88/#respond Tue, 18 Sep 2018 07:12:28 +0000 http://kazoku-kizuna.jp/?p=3014 Adaptive unconscious(適応的無意識)」という面白い言葉があります。とっさの出来事に対して、その出来事にうまく立ち向かっていくように、人は視覚からだけで1100万要素の情報をキャッチし、そのうち40要素を脳で判断するという、アメリカのT・ウィルソンの研究発表です。

このとっさの判断力は若者もたくさん持っています。例えば、向こうから車が来た。とっさにどっちによけたら助かるのかな。こんなときに適応的無意識が有効に働きます。

高齢の場合、今までの人生でたくさんの人に会っているので、実はこれが誰か違う人に会ったときの適応的無意識として正確な判断をするときに有利です。

長年の蓄積で過去の自分の経験値のフィルターにかけて、一瞬、目の前にいる人が善い人なのか悪い人なのか、正直なのか嘘つきなのかと統合して判断していくわけです。人物判断に関して、経験を統合して判断する力は、高齢期のギフトだともいえます。

それなのに、振り込め詐欺やオレオレ詐欺に高齢者が引っかかってしまうのも一面の事実です。それは、やはり高齢者自身の判断力に対する自信のなさとも関連すると思われます。

とっさの出来事でアッとあわててしまい、落ち着いて考えたら、息子が今、会社の前まで300万円持ってきてくれと言うはずないと気づくわけですが、とっさに自分の判断力を統合して使うことを忘れて、つい相手の言いなりになってしまう。そこでオレオレ詐欺が発生するわけです。

これは高齢者自身にも大いに責任があります。走ったり、力競争では負けるけれど、人間を統合的に判断する力は充分にあるのだと、もう一度しっかりと思い出してほしいところです。そして、まがい物のストロークが相手から降ってきたら、あちこち確認電話をするなどできる限りの手を尽くして、それが本当かどうかを判断していったらいいのです。


出典:佐藤綾子著「介護も高齢もこわくない」

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「依存欲求」には世代格差がある http://kazoku-kizuna.jp/2018/09/14/%e3%80%8c%e4%be%9d%e5%ad%98%e6%ac%b2%e6%b1%82%e3%80%8d%e3%81%ab%e3%81%af%e4%b8%96%e4%bb%a3%e6%a0%bc%e5%b7%ae%e3%81%8c%e3%81%82%e3%82%8b-2/ http://kazoku-kizuna.jp/2018/09/14/%e3%80%8c%e4%be%9d%e5%ad%98%e6%ac%b2%e6%b1%82%e3%80%8d%e3%81%ab%e3%81%af%e4%b8%96%e4%bb%a3%e6%a0%bc%e5%b7%ae%e3%81%8c%e3%81%82%e3%82%8b-2/#respond Fri, 14 Sep 2018 01:04:16 +0000 http://kazoku-kizuna.jp/?p=2983 私たちの持っている欲求に「依存欲求」があります。誰かに頼りたいという欲求です。

赤ちゃんの時に依存欲求が強いのは当たり前です。お母さんがいないとご飯を食べることも、どこかの場所に移動することもできないからです。青年期は依存欲求どころか、「無駄な口出しをしないでほっといてよ。何だってできるから」となるわけです。

ところが、高齢化に伴い、次第に自分のできることが減ってきます。これからの人生の時間に対する不安、行動範囲の縮小、人間関係の縮小、好奇心の縮小などの高齢者独特の心理的特徴により、だんだん、誰かに助けてもらわないと困ると感じるようになります。この感情が依存欲求です。依存欲求があっても、実際には努力して自分で行動して、「依存行動」にまでいかない人もいます。

でも、中には、「どこかに行くのにいちいちついてきてほしい」というような依存行動に移行する人もいます。

赤ちゃんの時に大きかった依存欲求は、高齢期で再び大きくなる。そのことに気づいて「ああ、頼ってもらえてよかったな」と割り切って高齢者を助けてあげる社会にしましょう。

今まで散々努力してきた人たちが、自分たちが辛く扱われることを予感して、「ボケるが勝ちですよね」などと言うのは、実は本当に罰当たりな社会になったということです。

「ボケないで、なるべく人に依存せず自分でやっていこう」と本人は頑張ること。周りは依存欲求が高齢者から発信されたら「できることをしてあげよう」と思うこと。これが本当の明るい未来の人間関係でしょう。

依存欲求には世代格差があって当たり前。高齢者が頼ったからといって、「面倒くさい」などと言うなかれ。高齢者がいなかったら、あなたは生まれなかったのです。


出典:佐藤綾子著「介護も高齢もこわくない」

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http://kazoku-kizuna.jp/2018/09/14/%e3%80%8c%e4%be%9d%e5%ad%98%e6%ac%b2%e6%b1%82%e3%80%8d%e3%81%ab%e3%81%af%e4%b8%96%e4%bb%a3%e6%a0%bc%e5%b7%ae%e3%81%8c%e3%81%82%e3%82%8b-2/feed/ 0 2983
「傾聴力」という名の忍耐力は社会の財産 http://kazoku-kizuna.jp/2018/08/31/%e3%80%8c%e5%82%be%e8%81%b4%e5%8a%9b%e3%80%8d%e3%81%a8%e3%81%84%e3%81%86%e5%90%8d%e3%81%ae%e5%bf%8d%e8%80%90%e5%8a%9b%e3%81%af%e7%a4%be%e4%bc%9a%e3%81%ae%e8%b2%a1%e7%94%a3/ http://kazoku-kizuna.jp/2018/08/31/%e3%80%8c%e5%82%be%e8%81%b4%e5%8a%9b%e3%80%8d%e3%81%a8%e3%81%84%e3%81%86%e5%90%8d%e3%81%ae%e5%bf%8d%e8%80%90%e5%8a%9b%e3%81%af%e7%a4%be%e4%bc%9a%e3%81%ae%e8%b2%a1%e7%94%a3/#respond Fri, 31 Aug 2018 07:43:37 +0000 http://kazoku-kizuna.jp/?p=2869 電車の中でちょっとぶつかったからといって喧嘩をしている若者同士の話を聞くと、どっちも相手の言うことなど一切聞いていません。

「バカとは何だ」、「おまえこそバカだ」というわけで、どんどん罵りがエスカレートし、両方で同時にしゃべっているので、互いの話を聞いているどころではありません。

夫婦喧嘩だった似たようなものでしょう。そこからいい解決など生まれるわけがありません。

そこに必要なのが「傾聴力」です。中でも「積極的傾聴技法(active listening)」というスキルは本当に必要です。

(佐藤綾子『「察しのいい人」と言われる人はみんな、「傾聴力」をもっている』講談社+α新書、2013)

その第1は、自分の喜怒哀楽や、「忙しすぎる」、「つまらない」、「イライラする」などの、心理学で「否定的感情」と呼ばれるネガティブな気持ちをコントロールして相手の話を聞く力です。 

第2は、相手の感情に寄り添って話を聞く力。

第3は、相手の話をよく聞いて、的確な質問をする力です。この傾聴力は、練習や経験で磨かれます。

いろいろな人の話を聞いていく中で、どういう聞き方がいいのか自然にわかっていくからです。

さらに、高齢者の場合は、時間的ゆとりが生まれている人も多く、あたふたと人の話を半分聞いて、「ああせえ」、「こうせえ」、と言わず、最後まで聞いてくれるという素晴らしい美徳があります。

こんな傾聴力という名前の忍耐力を共につけてきたのがまさに人間の歩みの財産と呼ぶべきもので、その人の人生の宝物です。

こんな傾聴力を持った人が1人、2人、3人、そしてたくさん社会の中にいることが社会全体の財産になります。

トゲトゲと自分の主張ばかりするのではなく、じっくり人の話を聞いて、適切な質問をしてあげる。これぞまさに高齢者の才能であり特権です。


出典:佐藤綾子先生コラム

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「高齢力」って何? http://kazoku-kizuna.jp/2018/08/27/%e3%80%8c%e9%ab%98%e9%bd%a2%e5%8a%9b%e3%80%8d%e3%81%a3%e3%81%a6%e4%bd%95%ef%bc%9f/ http://kazoku-kizuna.jp/2018/08/27/%e3%80%8c%e9%ab%98%e9%bd%a2%e5%8a%9b%e3%80%8d%e3%81%a3%e3%81%a6%e4%bd%95%ef%bc%9f/#respond Mon, 27 Aug 2018 06:37:38 +0000 http://kazoku-kizuna.jp/?p=2839 忘年会や新年会などさまざまな席にいくと、誰が上座に座るのかがけっこう問題になります。うまく偉い人が上座に座ればいいけれど、たまたま新人社員や若い人が上座に座ってしまうと、「諸先輩を差し置いてこんなところに座ってすみません」などと言います。

 あるいは、結婚式や何かの周年行事のスピーチでも同じことがいえるでしょう。スピーチの順番が若い人になってしまうと、おこでまた、諸先輩を差し置いて若輩の私のスピーチで失礼いたします」と言います。これは一体何を意味しているのでしょうか。

 以前、中根千枝さんが『タテ社会の人間関係』および『タテ社会の力学』という2冊の本を書いて、「タテ社会」という言葉が日本の社会学上、大きな旋風を巻き起こしました。

 タテ社会とは簡単に言えば、会社に先に入った人が偉い、同じようにこの世に先に生まれた人が偉い、つまり先着順ということです。そうすると、高齢になって若者よりも年が上ならば、それだけで偉いということになります。

 でも、そんな年齢順の判断ではなくて、若者にはないけれど、高齢者にはよりたくさんある素晴らしい力をここでは「高齢力」と命名します。この高齢力は、先に書いた先着順のほかに、少なくとも三つの大きな能力を含むものだと私は考えています。

 第一は、「人間を統合する力」。昨今、「あの会議であの決定が通ったのは、上司の気持ちを忖度(そんたく)したからですよ」などと言って、「忖度」という単語が今年の流行語になるのではないかというぐらい流行っています。

 忖度とは、はっきり明文化されているわけではないけれども、相手の気持ちを推し量ることです。人生経験が長ければ長いほど、目の前の相手の言葉の裏読みができます。人生全体を統合(integrate)して、「本当はこの人は何を言いたいのか」、あるいは、「この事件は根本的にはこんな原因がある」というように類推をしていくわけですが、この忖度する力は高齢力の最たるものでしょう。

 第二は、「はぐくむ力」です。「育む」という字のほかに「羽包む」という文字があります。羽で包んだりして若い者を育てていく。こんな育てる力も高齢力の特徴でしょう。自分が若くて育ち盛りであれば、まだ自分が育っていくことに精一杯で、人を育てるところまでは手が回りません。

 第三は、「判断力と言語」。これはセットで一つの力と考えていいでしょう。例えば今、AIで脚光を浴びている「Ponanza」の筆者である山本一成さんは、その著書の中で、「何だってAIのほうが優れている世の中が近く来る。でも、人間に残されたのは、言葉と論理しかないんじゃないかな」と述べておられます。言葉と論理というのはいずれも、今、目の前で起きていることを正か悪か、善いことか悪いことかと論理的に判断し、そして、それを言語化する力です。

 山本さんが「言葉と論理」と言っているのは結局、判断力とそれを言語で表す力です。これまた高齢力。若者よりも高齢力に軍配が上がるでしょう。判断材料になる事例が年齢の分だけ多いのですから。

 ボキャブラリーも同様。そもそも「忖度」などという言葉は、なかなか若い方々は使えない単語です。語彙が増え、今どの単語を使うのが正解かと考えることができ、物事の道筋が判断できる。この統合的な判断力、あるいは論理性は、まさに高齢力の売りだと思われます。

 そう考えたら、年をとるってそんなに悪いものじゃないと思いませんか。むしろ、昔より今のほうが増し加わっている力だと高齢者は胸をはりましょう。


出典:佐藤綾子著 介護も高齢もこわくない

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http://kazoku-kizuna.jp/2018/08/27/%e3%80%8c%e9%ab%98%e9%bd%a2%e5%8a%9b%e3%80%8d%e3%81%a3%e3%81%a6%e4%bd%95%ef%bc%9f/feed/ 0 2839
現代日本が「高齢力」を活かせない理由 http://kazoku-kizuna.jp/2018/08/24/%e7%8f%be%e4%bb%a3%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%8b%e3%82%99%e3%80%8c%e9%ab%98%e9%bd%a2%e5%8a%9b%e3%80%8d%e3%82%92%e6%b4%bb%e3%81%8b%e3%81%9b%e3%81%aa%e3%81%84%e7%90%86%e7%94%b1/ http://kazoku-kizuna.jp/2018/08/24/%e7%8f%be%e4%bb%a3%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%8b%e3%82%99%e3%80%8c%e9%ab%98%e9%bd%a2%e5%8a%9b%e3%80%8d%e3%82%92%e6%b4%bb%e3%81%8b%e3%81%9b%e3%81%aa%e3%81%84%e7%90%86%e7%94%b1/#respond Fri, 24 Aug 2018 03:13:24 +0000 http://kazoku-kizuna.jp/?p=2814 高齢力ってすごいんだ、と言ったあとで恐縮ですが、今の日本はなかなか高齢者が自分の高齢力を誇り高く言えない状況が続いています。その傾向はそもそもアメリカから発生したIT社会です。何かにつけてパソコンやスマホの仕組みがわかっている人、フェイスブックやブログやメルマガがどんどん発信できる人が自分のビジネスを成功させたり、仲間をたくさん作ったりできる時代です。

 私も大学の学生たちを見ていて思うのですが、ろくすっぽ説明書を見ないで、次々とパソコンの新しいソフトを使いこなしています。彼らはITの申し子のようにして生まれてきているので、説明書などなくてもPCやSNSの利用は上手にできるわけです。

 高齢者はそんな時代に育ってこなかったので、なかなかここが難しい。そこで、若い人々に「これはどうやってやるの?」と聞いたりするわけです。若者からすれば、自分たちだけで高スピードに進めていきたい作業を、高齢者が横から、そこがわからない、あそこを教えろと言うわけですから、つい教える人、教わる人の立場がこの世への先着順とは逆さまになります。

 でも、もしもそうであっても、高齢者にはこれとは別に若者に教えられることがあるのですから、「これでチャラだよ」と考え直して胸を張りましょう。卑屈にならなくても大丈夫です。実は私もそうやって胸を張っています。

 同じ分野の能力で競争しようと思わないで、若者の力を上手に借りながら、高齢者は高齢者だけが持てる能力を誇り高く使っていきましょう。


出典:佐藤綾子著 介護も高齢もこわくない

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http://kazoku-kizuna.jp/2018/08/24/%e7%8f%be%e4%bb%a3%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%8b%e3%82%99%e3%80%8c%e9%ab%98%e9%bd%a2%e5%8a%9b%e3%80%8d%e3%82%92%e6%b4%bb%e3%81%8b%e3%81%9b%e3%81%aa%e3%81%84%e7%90%86%e7%94%b1/feed/ 0 2814