同病相憐れむ


父が<耄碌>を疑われたのは私が52歳の時で40年位昔のことである。 現代の認知症だが父のはレビー小体型だったのか幻視の症状が特に顕著。小刻み歩行や転倒し易いなど四六時中見守る必要が生じた。 最も大変だったのは私の妻だったと思う。 援軍は思いがけない場所にいた。身内や親戚ではなく同じような介護に苦しんだ他人の共感や介護者が少しでも楽になる秘訣を授けてくれた人々である。 どんなに心強く思ったことか。 ”同病相憐れむ”とはまさにこのこと。 私達夫婦も共に九十代でいつ認知症が発生してもおかしくない。最悪の事態に備えるために万全を期している。

 


(静岡県・S.I/男性)