真理と人格とを調和させる


道德および人間の知識の源となっているのは、世の中(宇宙)の 「真理」です。それは自然の法則であり、宇宙の因果律(原因・結 果の法則)であるといえます。
歴史上の聖人たちは真理を悟り、これを基にして真理を読み解く 言葉を発しつつ、自らの振る舞いや実践で道徳的な生き方を示して くれたわけです。つまり、真理を体得した聖人たちは、皆一様に道 徳家であったといってよいでしょう。
聖人たちがたくさんの人たちの心をつかみ、感動させ、信仰に導くことができたのは、彼らが道徳的に素晴らしい「人格」を備えて いたからです。ここでいう人格とは「知情意」、つまり知識・知性 と感情、意志などを総合したものと考えてください。
つまり、真理をただ論理的に説明するだけでは、人の心には響か ないということです。聖人たちは、真理を説くとともに、慈悲の心 で人々を受け入れ、温かい言葉で相手の心を救い、人々を大きな感 動で包んだのです。歴史に残る聖人たちの記録を見ると、人々を感 動させた逸話がたくさん含まれています。またその逸話から、聖人 たちの人柄、人格をしのぶことができます。真理を理解し、同時に人格を磨いていくことによって、私たちは 道徳的に大きく成長できるのです。


出典:「三方よし」の人間学廣池千九郎の教え105選