相手、第三者の名誉と利益を考える


道徳的な生き方においては、常に相手もしくは第三者の名誉と利益を優先的に考えて行動します。それは「神様のような慈悲心を 持って人や状況に対応する」という意味でもあります。
古い習慣に基づく形式的な道徳においては、そこまで相手や第三者を思っているわけではありません。自分が正しいと思うことを周囲に押しつけるなど、やもすれば自己本位な行動に陥ることすらあります。自分の名誉や利益を損なわない範囲で行おうとするため、必ずしも他人のためにならないこともあります。
例えば飲酒が身体によくないからといって、宴会の席上で飲酒を批判すれば、その場に居合わせた人は不快な思いをするでしょう。 本人は道徳的に忠告したつもりでも、目の前で酒を飲んでいる人へ の思いやりに欠けています。あるいは座布団に座るのを遠慮するのが美徳であると思い、どこでもそのようにしていると、周りの人まで座布団に座りにくくなってしまいます。自分が美徳を貫くことも大切ですが、それ以上に周囲の人たちの気持ちや立場を考え、その場その場で適切な判断を下すべきでしょう。 「相手を思いやる真の道徳的精神を持って、それぞれの事柄の性質 をよく考え、またその場の状況もしっかりと把握したうえで、慈悲 の心で最適な行動をとることが大切なのです。


出典:「三方よし」の人間学廣池千九郎の教え105選