モラル
質の高い人間とは何か

「質より量」もしくは「量より質」といったことが、いろいろな場面で問題となります。
大量生産・大量消費される工業製品などは、質はある程度でよいと考え、むしろ量のほうに重きを置いてつくられる場合もあるでしょう。もちろん危険をともなうような不良品は困りますが、必要な機能を備えていれば、それ以外の部分は簡素でも構わないという考え方もあります。 では、企業にとっての人材はどうでしょうか。スキルが低く経験も乏しい人ばかりで仕事をするより、能力が高くて熱意のある人が少人数で臨んだほうが、効率がよい場合もあります。この場合、量より質を重視していることになります。
では、「質の高い人間」とはどういう人を指すのでしょうか。いわゆる「多芸多才の人」というのは、器用で何でもできる半面、一つのことを深く掘り下げていかない場合もあります。ただがむしゃらに奮闘努力する人も、根性がある半面、きめ細かさや周囲との協 調性に欠ける面があるかもしれません。そうではなく、学問、知識、技術、芸術、あるいは信仰心などに優れながら、温かい心を持ってそれらの力を正しく活用していけるのが、「質の高い人間」 だといえるでしょう。
出典:「三方よし」の人間学-廣池千九郎の教え105選