利己心が生む社会の無駄


人間は日々、時間と労力を使っていろいろな活動を行います。
働いて得た金銭を、さまざまな目的に使用して、数々の物品を手に入れたり、要らなくなったものを捨てたりします。

これらの活動、金銭の使用法、物品の取捨には、おそらくかなりの無駄が含まれているはずです。例えば、さほど必要がないものを衝動買いすることもあるでしょう。勉強なり奉仕活動に使える時間がたっぷりあったのに、つい娯楽に興じてしまうこともあります。

社会のために寄付するゆとりが十分にあるのに、それを家族の楽しみだけに費やしてしまうこともあるはずです。

もっと大きなことでいえば、世界の国々が争うようにして軍備の拡大に巨額のお金を費やす一方で、世の中には飢餓に瀕したり、教育を受けられない人々が何億人もいるのです。世界全体が平和で豊かになるためにはどのようなお金の使い方をするべきかを、よく考えたいものです。

私たちは、つい「自分さえよければよい」と考えてしまうことがないでしょうか。家庭の崩壊も、社会の秩序の乱れも、国同士のいがみ合いも、そうした利己心に基づく「無駄」が原因と考えられます。自分の時間も労力も、金銭も、物品も、浪費せず、「皆がよくなっていくため」の活動に極力振り向けていくべきでしょう。


出典:「三方よし」の人間学-廣池千九郎の教え105選